いまどきの…?
         〜789女子高生シリーズ

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 
 



40度以上は酷暑日と制定される日も近いかもしれない、
途轍もない炎暑が続くこの夏で。
一番怖かったお話が、
2歳くらいの幼子が、覚束ない足取りで歩いてて、
うっかり転んで手をついたのが、側溝などに はまってる鉄の蓋。
あまりの暑さに途轍もなく熱せられてたものだから、
可哀想に小さな手のひらへそれは重い火傷を負ってしまったのだそうで。

 「下手な怪談以上に威力ありますよね、それ。」
 「痛い話、嫌い〜〜〜。」
 「………。(頷、頷)」

さすがに此処まで暑いと、
車の中への置き去りなんておバカなことをやらかす親もいなかろが、

 「というか、
  気がついた人が物凄い見幕で注意するか、いっそ通報するだろうしね。」
 「わんこを そうやってる人も減らないらしいよね。」

何なに? 兵庫さんが
車の冷房ほど警戒しなくちゃならないものはないって言ってたって?
風が当たる部分は涼しいから気がつきにくいが、
あの埋まりのいいシートのクッションが背中やお尻を暖めるので、
気がつかぬうちに延々とじわじわした汗をかいていて、
熱中症の手前の“脱水症状”を
起こしてましたなんてことに成りかねぬですって?

 「それも怖いなぁ。」
 「長距離移動は要注意だねぇ。」

お元気元気な十代半ば、花の女子高生です3人娘は、
だがだが、それも蓄積と言っていいものか、
前世の記憶というややこしい“覚え”も持っており。
お友達大事な年頃なのは判るけど、
真偽や正邪は自分の判断で見極めなきゃとか。
多勢が認めるものでも、
好みじゃないものには関心向かないときっぱり通せるぞ、とか。
いづれが春蘭秋菊かという、
お花もかくやという美貌と嫋やかさを持ちながら、
一人一人が芯の強い凛々しさも持つ、
今時で言うところの
“ハンサムな令嬢たち”だったりもするものだから。
通っておいでの女学園でも
その一挙手一投足が注目浴びておいでだが、

 「う〜〜〜〜〜んっ、気持ちい〜いvv」

どこのホテルの大浴場ですかというほども広い、
しかもしかも、完全人払いされた中庭の
ナツメヤシだのアレカヤシだの、様々な南国の緑を望める大窓に面した設計の、
三木さんチの大きな大きなお風呂場にて。
泡のお風呂に埋まりつつ、それは延び延びとしたお声を出してる図は、
愛らしい美の女神さんたちにしか見えなくて。

 「ヘイさん、これってジャグジーとどう違うの?」
 「……。(教えて)」

色白な金髪娘二人、
なめらかな泡を肩までぬすくっては水着のようにして遊びつつ、
なのに、ちいとも かさついたり突っ張ったりして来ないのが不思議ならしく。
それもそのはず、大理石の浴槽にたっぷりとあふれているクリーム状の泡は
バブルを放り込んでの泡ではなくて。
平八が考案し、有名なシステムバスの会社が試作したもの。
セッケン成分の泡ではないのでどんな素材の浴槽でも傷めはしないが、
なのに、お肌には十分な発泡効果をもたらすのだとかで、

 「ふっふっふ、そこは企業秘密ですからvv」

豊かなお胸を半分埋めて、
両手で掬った泡の玉、ふっと宙へと吹き飛ばせば、

 「うあ、何かボディシャンプーのCMみたいだ。」
 「……。(頷)」

もうもう、ヘイさんたら一人だけ色っぽいんだから。
ひゅうひゅうなんて、ちょっぴり蓮っ葉に囃し立てた七郎次だったが。

 「あらあら、
  先週の大川の花火大会で、ミスゆかたに冠された人に言われてもねぇ。」

 「う…。///////」

おやや?
いやにすっぱりと切り返されて、しかも二の句が継げないとは?


  …また何かやりましたね、あんたたち。(笑)





     ◇◇◇



途轍もない酷暑の夏であれ、お楽しみはお楽しみ。
海にだって行きたい、花火大会だって観に行きたい。
たとえ、エスコートしてほしい想い人の方々はそれぞれお忙しくって
当日の同行はまず無理であろうとも。

 「もはや諦めておりますものね。」
 「そうそう。」
 「〜〜〜。」

何しろ、警察官に医者に腕のいいパティシェと、
人が娯楽に興じていればいるほど、
24時間態勢、若しくは無休状態で忙しい職種ばっかり
何でまた集まったかなぁという顔触れ揃い。

 「まあ、一人だけ
  普通のサラリーマンさんだとか、学校の先生ですとか
  ホワイトカラーの方がいても、
  それはそれで ややこしいかもですけれど。」

その人だけ何かと集中しちゃいますものね、(愚痴とか伝言とか)
それもそれで大変だし、他の方への気遣いから結局 顔出しは出来ないかも知れぬ。
なので、メジャーな行楽ほど
好いたらしい人とのツーショットはもはや諦めている彼女らだが、
だからといって、イベント自体を諦めたりは致しません。

 虫も寄らない箱入り娘が3人です、
 男衆には視線さえ寄せさせない育ちですの、ごめんあそばせ、と

大嘘ついての(笑)女子だけという顔触れにて、
浴衣姿で打ち上げ花火を観に行ったのが、先週末の宵。
白地に流水、扇が幾つも流れる涼しげなのを平八が、
藍地にほのかな緋色の芙蓉が裾から咲き乱れる清楚なのを七郎次が。
正青に白抜きの、尾の長い金魚が優雅に舞う愛らしいのを久蔵がまとい。
髪にもそれぞれに、
愛らしいかんざしやら組み紐の飾りやらを留めての品よく装っての。
文庫結びの帯に桐の下駄、軽快にカラコロ鳴らしつつ、
人出も多い、花火の宴へキャッキャと繰り出したまでは良かったが。

 「うあ、可愛いvv」
 「つか、どっかのモデルとか?」
 「ケーブルテレビの取材じゃね?」

毎年恒例のお祭り騒ぎ、
河川敷にて花火師の方々が仕掛けを設置しているのを取り囲み、
夜店の屋台が土手の小道に沿って居並びの、
それを冷やかしつつ そぞろ歩きをしてもよし。
河原へ降りる側の土手の下は立ち入り禁止となるがため、
上へ上へと上がっての斜面に陣取り、
家族や恋人、好いたらしいお人と肩寄せ合って、
夜空に揚がる光の花束を堪能してもよし…ではあるが。
土手もなかなか場所とり競争が激しいようで、
ようよう見える近場はあっと言う間に埋まったらしく、
陽が暮れてから来た組は、隙間を探すか やや離れたところで我慢するか。
相手はお空に咲く花だから、多少遠くなっても見えはするし、
もっぱらお隣の連れとの雰囲気をこそ、
堪能したいというお人も少なくはなく。

 “そか、離れたところにこそ、カップルが多いんだ。”
 “目の毒だよん。”

なんて気がついてのこと、人の流れへ紛れ込み、歩きながら見物を選んだ3人娘。
ところが…もうもう予想はおつきか。
何を見に来た貴様とばかり、
お尻や肩を馴れ馴れしくも揉んで来た痴漢を3人ほど、久蔵殿が続けざまに蹴り倒し。
慣れない浴衣の脇やら裾やら、盗撮していたカスタマイズデジカメを、
特別電波を流すジャミング攻撃で画像ハウリングを起こさせて、
あれれ?と不調ぶりを確かめんとしていたところへ、
警邏のお巡りさんを呼び、あの人怪しいと告げ口したおしたのがひなげしさん。
そしてそして、
お孫さんと遊びに来ていたお年寄りの、
手提げを引ったくった置き引き犯を追っかけて、
ミス浴衣のコンテストの真っ只中へと飛び込んだ白百合さんは。
やばっと思ったのも一瞬のこと、
文字通りの飛び込みで、ステージを下駄ばきで優雅にウォーキング。
照明さんの光を上手に誘導し、
何とか物陰へ隠れようとしていた犯人をピンライトにて追っかけ回させ、
紅ばらさんが待ち受けていた下座へ追い詰め、
かかと落としで見事お縄にしたというから、

 「地元のお巡りさんたちには褒められたのにねぇ。」
 「………。(頷、頷)」

こういう情報も素早く届く、困った保護者の方々へも、
また増えた武勇伝はその日のうちにも伝えられたそうで。

 「勘兵衛様が明日にもカミナリ落としに来るとか。」
 「ウチはゴロさんが、明日までお米のごはんお預けの罰を執行中です。」
 「俺も……。」

久蔵殿へは、兵庫さんが夕方になるとお家まで毎日お目付役に来るのだそうで。

 「別に夜遊びなんてしないのにねぇ。」
 「え? そういう監視じゃない?
  宿題を片づける見張り? …あら大変っ。」

うあしまった、どこまで片付いてます?
私は読書レポートと数学のプリントを少し。
俺はだいぶ…。
わあ、見せて見せてと、
こういうところも相変わらずの淡雪姫たち。
まだまだ残暑は続きます、どうかほどほどにお元気で…。





     〜Fine〜  13.08.13.


  *お盆つながりか、
   ディズニーではもうハロウィンのコマーシャルが流れておりますね。
   ……って早すぎるだろおい。

  *おかしいな、最初に用意したネタは、
   久蔵殿の相変わらず大胆な下着へ兵庫さんが苦言を呈したところが、

   「…それ、水着だ。」
   「何だとう?」

   露出が少ないから下着だと思ったらしいのだが、
   やたらとチェーンやビジューがついてるし、
   背中がわも大きく空いてて。

   「…う〜ん。」

   保護者のお兄さん、
   さあさあどうするというお話を書こうと思ったのにねぇ。

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